百年構想リーグ、最終戦。
13位をかけた横浜F・マリノスとのプレーオフ第2戦。
結果は0-3。
スコア以上に何もできなかった。
そして、この試合は今シーズンの清水エスパルスを象徴する90分だったように思う。
試合後、吉田監督は「情けない試合」と表現した。
その言葉を否定できる内容ではなかった。
ブエノ不在で消えた“心臓”
試合前から不安材料はあった。
宇野、嶋本、そしてブエノ。
中盤の主軸3人が不在。
特に大きかったのはマテウス・ブエノの欠場だ。
立ち上がりこそ悪くなかった。
しかし時間の経過とともに違いは明確になった。
清水はロングボールをセフンへ当てる。
セフンは競り勝つ。
だが、その先が続かない。
中盤でボールが落ち着かず、セカンドボールも拾えない。
前線へ運ぶ道筋が見えない。
ブエノ不在によって中央からの展開力が失われ、
攻撃は単発になった。
弓場と小塚がダブルボランチ気味に構える形になったことで、
前線からのプレッシャーも機能しない。
本来、吉田監督のサッカーは前線から連動して相手を追い込む。
しかしこの日は後ろ重心。
相手を捕まえきれない。
そのズレが試合全体に広がっていった。
崩れる前に見えていた危険信号
26分。
横浜FMのクロスからヘディングシュート。
ボールはクロスバーを直撃した。
警告だった。
そして3分後。
天野の直接FK。
鮮やかに決められ先制を許す。
失点そのものより問題だったのは、その後だ。
清水は追いかける展開になっても流れを変えられなかった。
42分、松崎のクロスにカピシャーバがヘディングシュート。
前半最大の決定機だったが枠を外れる。
結局、意図的に崩した場面はほとんど見られなかった。
偶然生まれる形はある。
だが、再現性がない。
それがリーグ後半からの清水が抱えていた課題だった。
北川投入で変わった空気
後半開始と同時に北川と千葉を投入。
ここで少しだけ試合の景色が変わる。
北川が前線で収まる。
周囲を使う。
攻撃にリズムが生まれる。
ただ、流れを変えたところで試合を支配するには至らない。
51分にはクルークスのシュートがポスト直撃。
62分には再び決定機を作られる。
そして66分。
天野に抜け出され追加点。
試合はここでほぼ決まった。
さらに終盤には井上のミドルで3失点目。
吉田監督就任後、初の3失点。
最後を締めくくるにはあまりにも重い結末だった。
モチベーションではなく、力不足
試合後、監督は印象的な言葉を残した。
「モチベーションではなく、自分たちの力不足」
住吉もまた、
「練習や試合の雰囲気が少しぬるくなっていたかもしれない」
と語った。
厳しい言葉だが、現実だろう。
シーズン序盤にあった競争。
新しいサッカーへの飢え。
ポジションを奪う執念。
それが少しずつ薄れていった。
結果として球際やラインアップの強度も落ちた。
この試合で見えた問題は、横浜FM戦だけの話ではない。
リーグ後半から積み重なっていた課題が、最後に一気に表面化したように見えた。
百年構想リーグで得たものと失ったもの
これで百年構想リーグは終了した。
正直に言えば、
ずっと抱えていたモヤモヤが最後まで晴れることはなかった。
ただ、この半年で得たものもある。
吉田監督になり、チームは明らかに組織的になった。
以前のように個の能力だけに依存するのではなく、
チーム全体で守り、チーム全体で戦う。
守備は確実に改善された。
一定の基準で戦えるようになった。
これは間違いなく財産だ。
一方で失ったものもある。
ワクワク感。
予想を超える展開。
「今日はこの選手が何かやってくれるんじゃないか」
そんな期待感は少なくなった。
今のサッカーは多くを犠牲にして勝利を目指すサッカーだ。
だからこそ勝てば価値がある。
だが、勝てなくなった時に何が残るのか。
この半年間、その問いを何度も感じた。
さらに、このサッカーを成立させるには高い基準が必要だ。
走力。
強度。
判断力。
規律。
求められるものは多い。
そして故障リスクも高い。
実際に主力の長期離脱は繰り返された。
選手が揃えば良い試合ができる。
揃わなければ苦しくなる。
その振れ幅もまた今季の特徴だった。
それでも前へ
14位。
決して満足できる順位ではない。
ただ、この半年が無駄だったとも思わない。
組織化は進んだ。
課題も見えた。
必要な補強も見えてきた。
残るのは、その課題から目を背けないこと。
吉田監督が言ったように、必要なのはモチベーションではない。
危機感だ。
百年構想リーグは終わった。
だが、本当の勝負はここから始まる。
来シーズン、この半年で得たものを伸ばし、
失ったものを取り戻せるのか。
その答えを、また見届けたい。
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