試合前、吉田監督が求めていたのは明確でした。
「内容よりも次に進むことが大切」
その意味では、ミッション達成です。
ルヴァンカップ初戦、アウェイでツエーゲン金沢に2-0で勝利。
ただし、スコアだけではこの試合は語れません。
前半のシュート数は、清水2本に対して金沢10本。
3点、4点奪われてもおかしくなかった前半から、後半はまったく逆の展開へ。
苦しみながらも90分の中で試合を変え、次のラウンドへ進みました。
前半|いつ失点してもおかしくなかった45分
立ち上がりから、完全に金沢のペースでした。
4分、右サイドからのクロスを本多がゴール前でクリア。
5分にはCKの流れからパトリックに押し込まれますが、ファウルの判定でノーゴール。
さらに6分、右サイドを抜け出したパトリックと沖が1対1。
ここは沖が片手でセーブします。
清水も12分、平戸のスルーパスから松崎が抜け出し、クロスのこぼれ球をブルネッティがミドルで狙います。
しかし、その直後には再び金沢の速い攻撃。
ここも沖が止め、失点を許しません。
開始20分までに、金沢には4、5回の決定機。
いつ失点してもおかしくない展開でした。
26分には清水もカウンター。
松崎が右サイドを突破し、グラウンダーのクロス。逆サイドから走り込んだ井上が振り抜きますが、枠を捉えられません。
30分以降は少し落ち着いたものの、前半のシュート数は、
清水 2-10 金沢。
吉田監督も試合後、「3点、4点と入れられてもおかしくなかった」と振り返っています。
慣れないスタジアムや柔らかいピッチの影響もあったでしょう。
ただ、それ以上に大きかったのが、球際とセカンドボールで後手を踏んだこと。
攻撃でも足元へのパスが増え、背後へのアクションが少ない。
金沢からすれば、迷わず前からプレスをかけられる状況でした。
北川も「セカンドボールに対するアラートさは相手のほうが上だった」とコメント。
0-0で前半を終えられたこと自体が、この試合最初の大きなポイントでした。
後半|シュート数が「10対2」に逆転
ハーフタイム、吉田監督は戦術面を修正すると同時に、選手たちに「喝」を入れたと話しています。
その効果は、すぐにピッチへ表れました。
前半とは逆に、清水が前へ出ます。
47分、ブルネッティのクロスに木下が詰めるもオフサイド。
50分には松崎が持ち込み、左足でシュート。
さらにCKを連続して獲得します。
そして、このセットプレーにも変化が見えました。
平戸のキックに、味方が合わせられる。
直接ゴールにはつながらなくても、これまでより明らかに期待感があります。
後半は球際でも負けなくなり、セカンドボールを回収。
背後へのアクションも増え、前半は金沢に向いていた試合のベクトルが、清水側へ変わりました。
それは数字にもはっきり表れています。
後半のシュート数は、清水10本、金沢2本。
前半の「2対10」が、後半はそのまま「10対2」にひっくり返りました。
60分|松崎快、2試合連続ゴール
試合を動かしたのは、またしても松崎でした。
左から井上のクロスに木下が潰れ、平戸が横へ。
弓場から須貝へつなぎ、最後は松崎がダイレクトで振り抜きます。
ゴーーーーール!
苦しかった試合で、欲しかった先制点を奪いました。
吉田監督は松崎に対して、ゴール前へ入ることを繰り返し求めていると話しています。
その意識が、結果にもつながってきました。
そして最近の松崎を見ていると、もう一つ考えたくなることがあります。
平戸加入の大きな効果は、プレイスキックの質だけではないのかもしれません。
実力のある選手が加わり、ポジション争いは激しくなりました。
それが松崎にこれまで以上の危機感を与え、パフォーマンスを押し上げている可能性もあります。
もちろん、それが直接の理由かは分かりません。
ただ、この日の松崎は先制点だけでは終わりませんでした。
平戸と松崎。「競争」だけではない関係
もう一つ面白かったのが、平戸と松崎の関係です。
この2人はポジションを争う存在でありながら、この日は同時にピッチへ立ちました。
12分には、平戸のスルーパスから松崎が抜け出してチャンス。
先制点の場面でも、平戸から始まったボールが弓場、須貝とつながり、最後は松崎が仕留めています。
平戸は松崎のポジションを脅かす存在であると同時に、一緒に出れば松崎の良さを引き出せる存在にもなりそうです。
競争によって個々のパフォーマンスを引き上げ、同時起用では攻撃の選択肢を増やす。
平戸加入の効果は、想像していたより大きいかもしれません。
北川復帰弾。そして松崎は1ゴール1アシスト
73分、平戸と井上に代わり、北川と藤井が入ります。
すると76分。
藤井のクロスに北川が頭で合わせますが、GKがセーブ。
それでも北川は、次のチャンスを逃しませんでした。
88分。
松崎が左サイドからクロス。
そこへ北川が入り、今度はドンピシャのヘディング。
2-0。
千葉戦で復帰した北川にとって、早くも復帰後初ゴールとなりました。
北川自身が「ペナルティエリアでの仕事」を自分に求められている役割として挙げています。
1本目を止められても、もう一度同じ場所へ入る。
ストライカーらしい一発でした。
そしてクロスを送った松崎は、これで1ゴール1アシスト。
右ウイングでもインサイドハーフでも、自分の武器を結果につなげています。
沖がつないだ「0」が、後半の2点につながった
攻撃陣と同じくらい触れておきたいのが、沖です。
特に前半。
清水が試合を変えられるところまで生き残れたのは、沖のセーブがあったからです。
1対1を止め、その後の決定機もセーブ。
本多ら最終ラインとともに、金沢の猛攻を無失点で耐えました。
北川も、
「そこをゼロで抑えられたからこその勝利」
と振り返っています。
前半に1点でも入っていれば、まったく違う試合になっていた可能性があります。
後半の松崎と北川のゴールだけでなく、前半の沖のセーブも、この勝利を決めたプレーでした。
内容には課題。それでも「次へ進む」は達成
最終スコアは2-0。
しかし、カテゴリーだけを見て「順当勝ち」と片付けられる内容ではありませんでした。
アウェイとはいえ、相手は中2日のJ3。
清水は中9日のJ1です。
それでも前半は圧倒され、球際、セカンドボール、背後へのアクションなど、リーグ戦にもつながる課題を突きつけられました。
一方で、その悪い45分を引きずらなかったことは評価できます。
前半のシュート数は2対10。
後半は10対2。
ハーフタイムを境に、数字まできれいに逆転しました。
そして松崎が決め、復帰した北川も決めた。
何より、沖を中心に苦しい時間を耐えて無失点で終えました。
試合前、吉田監督が求めていたのは「内容」より「次に進むこと」。
課題はたくさん残りました。
それでもトーナメントで必要なのは、まず勝つこと。
2-0。清水は苦しみながらもルヴァンカップ初戦を突破し、次のラウンドへ進みます。
次戦に向けて
▶怪我・離脱・復帰など、最新の選手状況はこちら

コメント