清水エスパルス 対 水戸ホーリーホック 試合レビュー| 何もできなかった前半から、劇的逆転へ J1 2026/27 第9節

内容だけを見れば、決して褒められる試合ではありませんでした。

前半はシュート0本。ゴール期待値も0.00。

後半開始早々には先制点を奪われ、試合の大半は水戸のペースでした。

それでも終わってみれば、2-1。

藤井が流れを変え、最後は須貝が約90分の鬱憤を一気に晴らす決勝ゴール。

良くない試合でも勝つ。

リーグ戦3連勝、公式戦5連勝。

今の清水には、そんな勝ち方もできるようになってきました。


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前半は「何も起こせない」45分

スタートは4-1-2-3。

井上、オ セフン、北川の3トップに、松崎と弓場。アンカーにはディエギーニョが入りました。

しかし、立ち上がりから試合は動きません。

強い風下に立った清水は、前線へのボールがことごとく押し戻されます。

さらに長めの芝にも苦戦したのか、ボールをつないでもテンポが上がらない。

水戸にボールを持たれ、16分、26分とゴール前まで運ばれます。

一方の清水は、ほとんど見せ場を作れませんでした。

前半の数字は、

シュート0本。
ゴール期待値0.00。

今シーズン、ここまで攻撃で何も起こせなかった45分は記憶にありません。

もちろん風の影響は大きかった。

ただ、松崎が試合後に「もう少し主体的にボールを動かす必要があった」と振り返ったように、条件だけでは片付けられない前半でもありました。

風下なら、どう前進するのか。

ロングボールが難しいなら、どうボールを動かすのか。

そこに答えを見つけられないまま、0-0で折り返します。


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3枚替え。それでも先に失点

吉田監督はハーフタイムに動きます。

北川、オ セフン、井上を下げ、嶋本、ジャーメイン、藤井を投入。

前線を一気に入れ替えました。

ところが48分。

一本のスルーパスから加藤に抜け出され、ループシュート。

0-1。

後半勝負に出た直後の、痛すぎる失点でした。

それでも前半とは違いました。

50分には藤井がミドル。

62分にはブルネッティ。

清水がようやく相手ゴールへ向かい始めます。

その中心にいたのが藤井でした。


藤井が、一人で試合を動かした

この日の藤井は、とにかく仕掛けました。

ボールを持てば前へ。

右サイドで真瀬と対峙し、何度止められても、また仕掛ける。

周囲との連係が噛み合わない時間帯でも、藤井だけはゴールへ向かい続けました。

そして75分。

CKから二次攻撃につなげると、最後は藤井。

加入後初ゴールで1-1。

セットプレーから得点できたことも大きいですが、それ以上に、この試合で最もゴールへ向かっていた選手が結果を出したことに意味があったと思います。

藤井自身は試合後、

「あまり覚えてないです。連戦なのでもうどこかに置いてきました」

と、なんとも淡々。

ただ、この日の清水を動かしたのは間違いなく藤井でした。


救われたオフサイド。そして最後の一撃

80分には、水戸の右クロスからネットを揺らされます。

一瞬、1-2。

しかしオフサイドで取り消し。

正直、負けてもおかしくない試合でした。

そして迎えたアディショナルタイム。

水戸の攻撃を須貝がカット。

そのまま一気に前へ運び、左の藤井へ預けます。

ここで終わらない。

須貝はそのまま走る。

藤井が仕掛けて相手を引きつけると、空いた中央へ須貝。

最後は右足を伸ばし、滑り込みながらゴールへ流し込みました。

2-1。

奪ったのも須貝。

運んだのも須貝。

そして最後に決めたのも須貝。

この試合、右サイドでは苦しい時間が続いていました。

吉田監督からも「いつものヒデらしくない」と喝を入れられていたそうです。

それでも最後の最後に、逆サイドまで走り切った。

90分間すべてが良くなくても、最後の一本でチームを勝たせる。

漢だよ、須貝。

そう言いたくなるゴールでした。


内容では水戸。それでも勝ったのは清水

数字を見ても、清水が圧倒した試合ではありません。

ボール保持率は41%。

パス成功率も69%。

CKは水戸7本に対して清水1本。

前半に至ってはシュートすらありませんでした。

一方で、清水はスプリント数で125対105。

そしてシュート7本のうち4本を枠へ飛ばしています。

きれいにボールを握って崩したわけではない。

それでも、後半は走力と推進力で試合を動かしました。

象徴的だったのが、途中から入った藤井と、最後まで走った須貝だったと思います。


勝ったからこそ、反省できる

この試合を「逆転勝利だから良かった」で終わらせる必要はありません。

前半の45分は明確な課題です。

相手のプレスに苦しみ、セカンドボールも拾えず、環境に合わせた攻撃も作れなかった。

須貝自身も「自分たちのサッカーができていない時間と、できている時間がある」と振り返っています。

その差は、まだ大きい。

ただ、それでも勝った。

以前なら、そのまま0-1で終わっていても不思議ではない試合です。

藤井が追いつき、須貝がひっくり返した。

内容が悪い日に、勝点3を持って帰る。

長いシーズンでは、こういう勝利が必ず必要になります。

サッカーとしては退屈で、負けてもおかしくなかった。

でも、須貝のシュートがネットを揺らした瞬間、そんな90分が全部吹っ飛びました。

それもサッカー。

リーグ戦3連勝、公式戦5連勝。

課題はたくさんある。

それでも今は、勝ちながら直せます。

そして何より――

勝つって、やっぱり最高ですね。


次戦に向けて

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